こんにちは、ひょう丸です。
今回は私ひょう丸のしくじり体験談の第三話「豪ドルFX」編を赤裸々に公開します。
先に結論をお伝えします。
2008年のリーマンショックによる「有事の円買い」で豪ドルが急落。高レバレッジで
保有していた豪ドルのFXポジションがロスカットを受け、約40万円の損失が確定しました。
しかし、今だから言えることがあります。
このFXのしくじりは、リーマンショックが引き金を引いただけです。ロスカットという
結末は、ポートフォリオ設計が歪であった時点で、いずれ必ず起きていたことでした。
この記事を通じて「ロスカットが怖い」「FXで失敗した」という方だけでなく、
「自分のポートフォリオが特定のリスクに集中していないか」を点検するきっかけ
にしていただければ幸いです。
この記事でわかること
- リーマンショックとは何だったのか(幕の内弁当のたとえで解説)
- リーマンショック発生時のひょう丸のポートフォリオの全体像
- 「楽観視」という最も危険な心理状態に陥った経緯
- ロスカットが発生するまでの心理変化の実態
- 「ロスカットはいずれ起きていた」と言える理由(ポートフォリオ設計の歪み)
- 有事の円買いとはどういう現象か
- この失敗から導き出した具体的な改善策
そもそもリーマンショックとは何だったのか|幕の内弁当で理解する
リーマンショックを調べると、以下のような単語で埋め尽くされた説明が出てきます。
- サブプライムローン
- リーマン・ブラザーズ
- 金融危機
「これらの単語の意味がわからないから、そもそも説明が理解できない」という方がほとんど
だと思います。ここでは小学生でもわかるように、幕の内弁当を例に説明します。
とある弁当屋さんが幕の内弁当を売り出していましたが、
ある日、幕の内弁当のおかずの一つが腐っていることがわかりました。
そうなると、お客さんはその幕の内弁当全体が腐っているのでは?と不安になり、
その後、その幕の内弁当を売っていたリーマン弁当屋が倒産するとますます不安になり、
弁当業界が大混乱に陥りました。
| 幕の内弁当のたとえ | 実際の金融用語 |
|---|---|
| 腐ったおかず | サブプライムローン(信用力の低い人向けの住宅ローン) |
| リーマン弁当屋 | リーマン・ブラザーズ(米国の大手投資銀行) |
| 弁当業界の大混乱 | 金融危機(世界の金融システム全体への信用不安) |
つまり、サブプライムローンという問題のある商品を大量に扱っていた銀行
(リーマン・ブラザーズ)が倒産したため、「他の銀行・証券・保険も大丈夫なのか?」
とみんなが不安になって世界中が大混乱したのがリーマンショックです。
(「株価が下がってサラリーマンがショックを受けたからリーマンショック」ではないのです。)
リーマンショック発生時のひょう丸のポートフォリオ
過去のExcelのポートフォリオ記録を振り返ると、最も古いもので2008年10月時点の情報が
わずかに残っていました。
【2008年10月時点のアセットアロケーション】
円預金:55%(生活防衛資金を含む)
外貨預金:26%
外貨債券・外貨MMF:13%
FX:4%
株式:1%(日本一のハンバーガーチェーンのみ)
投資信託:1%
今から振り返ると、資産運用を始めて約1年のポートフォリオとして「かわいい」配分に見えます。
しかしここに致命的な問題があります。 このポートフォリオを俯瞰すると、あることに気づきます。
【ポートフォリオの歪みの正体】
外貨預金(26%):NZドル中心 → 為替リスクあり
外貨債券・外貨MMF(13%):高金利通貨建て → 為替リスクあり
FX(4%):豪ドル → 為替リスクあり
→ 投資資産全体の大半が「外貨(高金利通貨)への集中」という
同一リスクにさらされていた
→ 「円高が進む」という一つの出来事で
ポートフォリオ全体が一斉に打撃を受ける構造だった
これが「ポートフォリオ設計の歪み」の正体です。
各商品を別々に見ると「外貨預金・外国債券・FX」と多様に見えますが、
実態は「全部が円高に弱い高金利通貨への集中投資」でした。
これがリーマンショック以前から存在していた根本的な問題です。
「有事の円買い」とは何か|なぜ危機のときに円が上がるのか
リーマンショックで発生した「有事の円買い」を理解することが、
この失敗の本質を理解するために重要です。
なぜ金融危機で円高になるのか?
【有事の円買いが発生するメカニズム】
リーマンショック発生(世界的な金融危機)
↓
投資家がリスク資産(株・高金利通貨・新興国資産等)を一斉に売却
↓
「安全な資産に逃避」する動きが起きる
↓
日本円(安全資産と見なされている)に需要が集中
↓
急速な円高進行
なぜ円が「安全資産」と見なされるのか?
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| 世界最大の対外純資産国 | 日本は海外への投資・貸付が多く、危機時に資金が日本に還流しやすい |
| 経常収支が黒字 | 慢性的な黒字により円の需要が安定している |
| 低インフレ・低金利 | 通貨の価値が安定している |
💡 「安全資産への逃避」の動きは、リーマンショックに限らず大きな金融危機や地政学的
リスクが高まるたびに繰り返されます。 コロナショック(2020年)でも瞬間的な円高が
起きており、この構造は現在も変わりません。
FXのしくじりの詳細|楽観視という最も危険な心理状態
FX(豪ドル)のポジションは、2008年10月時点で既に20万円の含み損を抱えていました。
当時のひょう丸の頭の中はこうでした。
「リーマンショックの影響は欧米の金融機関が中心だ。
オーストラリアはほとんど影響しないはずだ。豪ドルは大丈夫だろう。」
今思えば、この楽観視がすべての元凶でした。
なぜ「楽観視」できたのか?心理的メカニズムを解明する
理由①:損失を認めたくない(損失回避バイアス)
既に20万円の含み損が発生していました。「ここで撤退すると20万円の損失が確定する」
という心理的抵抗が、合理的な判断を妨げていました。
【損失回避バイアスが起こす行動】
含み損20万円が発生
↓
「売れば損が確定する」という強い心理的抵抗
↓
「まだ戻るかもしれない」という希望的観測が生まれる
↓
「オーストラリアは大丈夫なはず」という根拠のない楽観論で自分を納得させる
↓
損切りできないまま事態が悪化する
理由②:調べなかった(情報収集の怠慢)
「影響しないだろう」と思っただけで、実際にオーストラリアの経済状況・政策金利の見通し
・為替アナリストの見解を調べていませんでした。
【当時調べれば確認できた事実】
・オーストラリアは資源輸出国として中国との関連が深く
世界経済の減速が資源価格の下落を通じて影響する
・リスクオフ局面では高金利通貨(豪ドル含む)は売られやすい
・オーストラリア準備銀行が利下げ局面に入る可能性が高かった
理由③:レバレッジの「ゆがんだ安心感」
FXのレバレッジにより、実際の取引金額は証拠金より大きくなっています。
「まだ証拠金はある」という感覚が「まだ大丈夫」という錯覚を生みました。
しかしロスカットは証拠金が枯渇したときに容赦なく発動します。
ロスカットが発生するまでの経緯
2008年10月から含み損を抱えながら保有を継続していましたが、
その後の豪ドルは回復せず、さらに下落が続きました。
【リーマンショック前後の豪ドル/円の推移(概算)】
2008年前半:約100円台
リーマンショック後(2008年10月頃):約70〜80円台
その後の最安値:約55円台
→ 高値から約半値以下まで下落
ロスカットが発動した瞬間のことは、今でも覚えています。
FX口座から約定通知メールが届き、保有していた豪ドルのポジションが消えていました。
「あ、ロスカットされたんだ」という感覚は、怒りでも悲しみでもなく、ある種の諦めでした。
【ロスカット時の状況(概算)】
FX口座に預けていた証拠金がほぼゼロに
確定損失:約40万円
感情:「やはりそうなったか」という虚無感
⚠️ 「ロスカットは投資家を守る仕組み」という説明は正しいですが、そのロスカット水準まで
含み損を拡大させてしまった時点で、すでに大きな失敗をしています。 ロスカットは
「最悪の事態を防ぐ最後の砦」であって「それに頼ってよい仕組み」ではないのです。
「いずれロスカットは起きていた」と言える理由
冒頭で「リーマンショックが引き金を引いただけで、
いずれ顕在化しうるしくじりだった」と述べました。その理由を説明します。
ポートフォリオ全体が「円高」という一つのリスクに集中していた
【ポートフォリオが「円高」に対してどれだけ脆弱だったか】
外貨預金(26%)→ 円高で円換算額が目減り
外貨債券・外貨MMF(13%)→ 円高で円換算額が目減り
FX豪ドル(4%)→ 円高でロスカットリスク上昇
投資資産全体の43%が「円高」というリスクに一方向にさらされていた
→ リーマンショックでなくても
「円高」が起きれば同じダメージを受ける構造だった
→ 円高は歴史的に繰り返し起きている現象
→ このポートフォリオのままでは、いつか必ず同じことが起きた
FXはレバレッジで「ロスカット」という仕組みが存在する
外貨預金はいくら円高になっても「塩漬け」にして待てます(第一話のNZドルの経験)。
しかしFXはレバレッジがかかっており、証拠金が枯渇するとロスカットで強制終了になります。
外貨預金・外国債券・FXが同じ方向(高金利通貨への投資)に張り続けていた構造では、
大きな円高局面が来たとき、FXだけが最初にロスカットで終了するのは必然でした。
しくじりポイントの深掘り
しくじり①:「オーストラリアは大丈夫」という根拠のない楽観視
リーマンショックが欧米発だからといって、オーストラリアが無傷で済む根拠は何もありません
でした。「影響しないだろう」という思い込みを、一次情報で検証しなかったのが致命的でした。
教訓:「大丈夫だろう」と思ったら、必ず反対の証拠を探す。 「大丈夫な根拠」より
「大丈夫でない根拠」を探す習慣が、楽観的バイアスへの最も効果的な対策です。
しくじり②:損切りルールをエントリー前に設定していなかった
FXポジションを建てるときに「ここまで下がったら損切りする」という
逆指値注文を設定していませんでした。
【逆指値注文があった場合のシミュレーション】
エントリー時に逆指値を10%下で設定した場合:
→ 損失は最大でも証拠金の一定割合で止まった
→ 40万円の損失の大半を防げた可能性がある
→ 感情が介入する前にシステムで損切りが実行される
「感情が邪魔する前に逃げる」仕組みを事前に作ることの重要性
教訓:FXのエントリーと同時に逆指値(損切り注文)を必ず設定する。
これはルールではなく「生存戦略」です。
しくじり③:ポートフォリオ全体のリスク集中に気づいていなかった
外貨預金・外国債券・FXを「別々の商品」として見ていたため、「分散している」という錯覚
がありました。しかし実態は「円高」という一つのリスクへの集中投資でした。
教訓:投資商品の名前ではなく「どのリスクにさらされているか」で分散を評価する。
名前が違っても同じリスクを持つ商品を多数保有することは、分散にならない。
この失敗がもたらした投資戦略の転換
この失敗を経て、ポートフォリオの設計思想が根本から変わりました。
改善①:「リスクの種類」で分散を評価するようになった
【改善前のポートフォリオの考え方】
「外貨預金・外国債券・FXと3種類持っているから分散できている」
【改善後のポートフォリオの考え方】
「これらはすべて為替リスク(特に円高リスク)に弱い同一のリスク」
→ 円高・円安どちらでも影響を受けにくい商品を組み合わせる
→ 株式・債券・不動産・現金・外貨を「相関が低い」組み合わせで保有する
改善②:FXのエントリーには必ず逆指値注文をセットするようになった
【現在のFXエントリー時の必須ルール】
エントリーと同時に:
・損切りラインの逆指値注文を設定(感情が介入する前に自動執行)
・利確ラインの指値注文を設定(「利益が消える恐怖」を排除)
→ ポジションを持った瞬間から「出口が決まっている状態」にする
改善③:「楽観視」を発見したら即座に反証を探すようになった
「大丈夫だろう」という思考が頭をよぎったとき、即座に「なぜ大丈夫でないかの根拠」を
探す習慣を身につけました。反証を探しても見当たらないなら、そのときに初めて
「本当に大丈夫かもしれない」と判断します。
リーマンショック後の相場回復と「持ち続けた場合の結末」
補足として、もしロスカットされずに豪ドルポジションを持ち続けた場合、
どうなったかも見ておきます。
【豪ドル/円のその後の推移(概算)】
リーマンショック後の最安値:約55円台(2009年)
その後の回復:
2010年:約80円台
2012年:約85円台
2013〜2015年:約90〜100円台
2022〜:約90〜100円台
→ 回復まで約3〜5年かかった
→ ただし豪ドルFXはレバレッジがかかっているため
「回復まで持ち続ける」こと自体が証拠金の追加入金なしには不可能だった
✅ 外貨預金(レバレッジなし)なら「塩漬けして回復を待てた」かもしれません。
しかしFX(レバレッジあり)は証拠金が枯渇した時点で強制終了です。
これがFXと外貨預金のリスク性質の根本的な違いです。
まとめ|リーマンショックが暴いた「ポートフォリオ設計の歪み」
| 失敗の本質 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 真の原因はリーマンショックではない | 外貨への集中投資というポートフォリオ設計の歪みが根本原因 |
| 楽観視という最も危険な心理状態 | 根拠のない「大丈夫だろう」が損切りを妨げた |
| 損切りルール未設定 | エントリー前の逆指値注文がなく、感情が判断を歪めた |
| 分散の錯覚 | 商品名は違っても同じリスクへの集中になっていた |
| 改善後の行動 | リスクの種類で分散評価・エントリー時の逆指値設定・楽観視の反証探し |
40万円という授業料は決して安くありませんでした。しかしこの失敗がなければ、
「ポートフォリオを商品の名前ではなくリスクの種類で評価する」
という発想は身についていなかったと思います。
これを読んでいる皆さんは、今すぐ自分のポートフォリオを
「どのリスクにいくら晒されているか」という視点で確認してみてください。
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